刹那【短編】
季節外れの海
は
まるで二人だけの世界。
楽園から追放されたアダムとイブ(私と貴方)
神様にも見放された私達。
それさえも忘れてしまうようなこの甘い空間に私は酔いしれていた。
「なぁ
美央?」
お兄ちゃんが私の名を呼ぶ。
「なに?」
「俺達結婚は出来なくても
手を繋ぐ事だって
キスをする事だって
抱きしめあうこ事だって
愛し合う事だって出来る。」
「だから
だから
俺は一生お前を離さねぇ!
じじぃになっても
お前がババァになってもずっと隣で笑っててな?」
そう言ってお兄ちゃんは私の手を強く強く温かく包み込んでくれた。
「これって
プロポーズじゃん(笑)」
私が笑って茶化すとお兄ちゃんは顔を真っ赤に染めて
ぶっきらぼうに「そーだよ!!わりぃかっ!!」と言ってフンっと顔を背けた。