あの夏を忘れない
父も母も仕事なので六時すぎまでは帰ってこない。







夏休みも何ら変わりない生活を送るんだろう。







そんな変わりない生活の中で『小田春貴』は華ほどじゃないにしろ私にも多少のワクワク感を与えてくれた。








「きれいな肌だったよなぁ…。透き通ってて…。」







鏡に自分の姿を映しながら呟いた。








「…なになに?早紀ったら恋?恋しちゃったの?」







いつの間にか背後にいた姉が楽しそうに話しかけてきた。









「そんなんじゃないよ。」








鏡を定位置に戻すと塾の宿題を開いた。







夏休みは学校がない代わりに塾が張り切ってくれちゃうからなぁ…








びっしりと詰まった問題集を見てため息をつく。







まぁいつもとちょっと違う『小田春貴』に期待をしつつ…









塾の宿題に取りかかるとまたいつの間にやらリビングに戻った姉がゲームを続けていた。








姉も華も中川も…

私の周りはこんなんばっかなのかなぁ?

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