あの夏を忘れない
「先生ぃぃぃ!これ今日まで?絶対無理だってぇぇぇ」




涙声の情けない声が聞こえてきた。





声の主は私の友だちの上村華(うえむらはな)。



ふわふわな天然パーマにくりくりな大きな瞳で男の子からも評判はいいのだが、こういう居残り勉強には必ず強制出席させられるところが少し問題。





私はもちろん一回もなし!




居残りなんてしないでいいことまでしたくないんだけど…



結局華の「ちょっと待ってて」に付き合わされて帰りが遅くなるんだよね。


困ったもんです。







教室の後ろから覗いていると華が私を見つけたらしい。




困った顔で手を合わせ私を拝み始めた。





どうやら答えが分からないから教えてほしいみたい。





右に左にうねうねとタコのように手を動かして問題を伝えている。






…そんなんじゃ分かんないって。





首を傾げる私に華のジェスチャーはますます大きくなる。







ビリ○ズブートキャンプを彷彿とさせる大きな動きに見とれていると、華の奇怪な行動が先生に見つかり叱られてしまった。











…当たり前だ。


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