あの夏を忘れない
最近やたら図書室と仲良くなったなぁ…




今日もパラパラと本の物色を始めた。





読みたくないわけじゃないんだけど、読み始めると長くなっちゃうから華の勉強が終わりそうな時間を考えながら読まないといけない。





案外難しいのだ。






難しい顔をしながら本を眺めているとまたヒンヤリと冷たい空気が頬をかすめた。








「さっきちゃん!」






人の気配がしなかったぞ!?






驚きつつ、しかし声には聞き覚えがあるので平常心を保ちつつ、静かに振り返った。







「小田春貴」







「華と慎吾はまだ居残り中?今日は残んないって言ってたのにね。」







ふわりと軽い足取りで図書室に入ってきた。






その消え入りそうな綺麗な姿に見とれながら小田春貴の姿を目で追う。







「…で?早紀ちゃんは本読まないの?」





「あ…あぁ本ね。」





ぐるっと部屋一面の本棚を眺め小田春貴の方へ向き直す。







「何か話でもする?」

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