あの夏を忘れない
小田春貴は一瞬ビックリした顔をして、次の瞬間笑顔で言葉を返した。





「なんだか俺逆ナンでもされた気分だゎ。」






笑顔を浮かべて冗談を言う小田春貴を目の前に、そんなことをふいに言ってしまった私自身に驚いた。






華も中川も自分から好き勝手に話す友人から自分を推測するに、あまり自分から話をする性格ではない。






尋ねられれば答えはするが沈黙を苦手としない…むしろ沈黙さえも心地よいと思っていた自分にこんな言葉を発することができるとは…







「…で?何か話したいことがあるわけ?」







「あははは。自分から誘っておいて早紀ちゃん案外自己中じゃん!」






「…本当。自分でもそう思う。」






「あははは。認めてるし。」














…でも






なぜか小田春貴は私に話したいことがあるような…







聞いてあげないといけない何かがあるような…





そんな気持ちがモヤモヤと胸の奥をかすめた。

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