あの夏を忘れない
「こらぁぁっ!!!」







無駄に大きな声が図書室中に響きわたる。










でも…





この声は聞き覚えがある…









ふぅーっ。




ため息をついた後、小さく深呼吸した。




「で?中川は何か用があるわけ?」





「あ?ばれてた?」







にこにこと笑いながら図書室に入ってきた男、中川慎吾。






何の悩みもなさそうな笑顔を浮かべキョロキョロと図書室を見回した。







「オマエ放課後もこんなとこ来てんの?俺授業以外で来たの初めてかも!何気に静かでいいな!」






大声で私に話しかけながら、ウロウロと図書室を徘徊した。








「うん。中川が来るまでは静かで良かったんだけどね!!!」





ぼんっ!

わざと大きな音を立てながら本を並べるとドアの方へ向かった。









「あぁぁっ!悪かった!悪かった!俺がうるさかった!静かにするからもう少し一緒にいようぜ。まだ上村終わんないみたいだし。」









そういえば、こいつも居残り組だったはず…









「中川はもう終わったの?珍しいじゃん。」


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