日暮れの緋色Ⅱ

 「用件は?」


 「え?」


 先ほどの丁寧な言葉と違い

 威嚇するような低い声が魁から聞こえると

 少年は驚いてからだが硬直した。


 「早く言えよ」 


 「は、はい。僕、足利(あしかが)亘(わたる)って言います。僕・・・・・・記憶がなくなって、気がつくと手が血だらけになってるんです」


 「は?」


 「僕が知らない間に、人を殺しているのかもしれなくて・・・だから、僕を調べてほしいんです!」


 亘はすがるように魁を見た。


 しかし、魁はどうしたものかと頭をポリポリと掻いた。 

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