日暮れの緋色Ⅱ
「あ~、気のせいじゃないの?」
「違います!」
亘の目に涙が浮かんできた。
どうやら、興奮のあまり涙腺がゆるんでしまったようだが
魁は自分が泣かしたようで居たたまれなかった。
「魁さん、お客様ですか?」
その時、奥からミコトがやって来た。
「ああ、客というか――」
「お願いします!!」
亘は深々と頭を下げた。
その姿を見て、ミコトは不思議そうに魁を見やり
魁は疲れたように深くため息をついた。