日暮れの緋色Ⅱ
(ぼ、僕は僕だよ!)
そう言いたいが、なぜが言うことができない。
そういいきれない不安を持っていた。
「痛くないですから。さあ、これをじっとみてください」
ミコトはネックレスの石を左右に振る。
紅いその石は、亘の網膜を突き破り
神経を通して彼の精神を揺さぶる。
『ウルサイ。オレハマダネテイタインダ』
亘ではない誰かが頭の中で話している。
誰?
君は誰?
『テメー、殺すぞ!』
紫紺の眼を見たと思った瞬間
亘の視界は闇に閉ざされた。
そして、彼の意識はそのまま遠のいていった。
『君は誰なの?僕――』