日暮れの緋色Ⅱ

 亘が目を開くと、その様子は明らかに変化していた。

 彼は邪魔そうに眼鏡を取ると

 そのメガネを器用にくるくると回して遊んでいる。


 「あなたは、誰ですの?」


 ミコトが目の前の亘の姿をした謎の少年に尋ねる。

 少年は人形のように可愛らしいミコトを見ると

 不敵に笑い、そして不躾にミコトのあごを持ち顔を引き寄せた。


 「へ~、可愛いじゃん」


 少年はそのままミコトにキスをしようとしたが――


 「!!」


 ミコトと少年の顔のわずかな隙間に

 剣がスッと差し入れられた。

 そして、その刃が少年の喉のほうに向き

 ためらいもなく真横に振り払われる。
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