木漏れ日が差し込む場所
「ちょっと待って」

返事を待たず、階段を目指していた私を呼び止めたのは、ようやく聞き慣れてきた声。

「はい?」

忘れ物でもしたのだろうか。

「明日も来る?」

質問の意図が図りきれず、首を傾げる。

「図書館」

人差し指で足元を指しながらそう呟いた彼の言葉を理解したのは、約三秒後のこと。

「は、はいっ」

「分かった。気をつけて」

そう言い残し、私の隣りをすり抜ける。
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