木漏れ日が差し込む場所
「隣り空いてますか?」

最初にこの言葉を口にしたのは彼女の方だった。

「はい」

置いていた鞄を降ろしながら、椅子を引く。

「ありがとう」

そう言って座った彼女が読み始めたのは、一冊の本。

タイトルはなんだっただろう?

よく覚えてはいない。ただ一つ印象に残っているのは、彼女の表情。

笑っていたかと思えば、怒ったり、悲しんだり。
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