木漏れ日が差し込む場所
ー翌日ー

いつもと同じ時間、場所に座っていた私に掛けられた声。

「隣り空いてますか?」

一言一句違わない。

「はい…どうぞ」

「ありがとう」

少しだけ。ほんの少しだけ、昨日よりも長く話せた。

一人、そんな小さなことに喜びを噛み締める。

横に腰掛けた彼はと云うと、何事もなかったかのように本を読み始めていた。

そのことがなんだか無性に悲しくて、胸が苦しくなる。

こんなにドキドキしているのは私だけなのだろうか?
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