木漏れ日が差し込む場所
眼前に広がる現実にほっと胸を撫で下ろす。

窓側に設けられた四席が私のお気に入りの場所。

今そこに座っているのはたった一人。

見覚えのある後ろ姿が私の心を弾ませた。

大きく息を吸い込んで、ゆっくりと深呼吸。同じ動作を三回繰り返し、彼の方へと歩を進める。

「あの…」

勇気を振り絞って発せられたのは、蚊が鳴くよりも小さな声。
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