流星群【短編集】

金魚すくいの屋台の前を通ったとき、喜代子は赤や黒の小さな金魚に目を輝かせた。

金魚鉢が無いから、金魚すくいはできないものと言い聞かされてやってきた喜代子だが、やはりチロチロと泳ぐ姿は可愛らしい。


『今日のキヨちゃんも金魚みたい』

喜代子の視線に気付いた松ねぇが、微笑みながら言った。

喜代子が着ていたのは、母が縫ってくれた新しい浴衣だった。
赤地に白い小さな花模様。
ひらひらの黄色い帯。
そんな喜代子の浴衣姿を松ねぇは金魚のようだと言ったのだ。


金魚はうれしくなって、色とりどりの光の中を泳ぎ回る。


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