流星群【短編集】
室内は埃っぽい空気が充満していて、多江はバッグからハンカチを取り出して口を覆った。
薄暗い室内に投光機が置かれていたが、今は使っていないようだった。
角材や、鉄筋の束が足元に転がっている。
『室内の間仕切りで、どうしても軽鉄組まないといけなくてさ』
どうしていいか解らず、立ちすくむ多江の背後から亮佑の声がした。
何気なく専門用語が含まれていていたが、多江は今まで聞かされていた亮佑の仕事話のお陰で理解することが出来た。
多江と亮佑が室内の奥に進むと、5、6人の作業員が待ち構えていて、軽量鉄骨の組立作業が行われていた。
亮佑は一歩前に進み出て、作業員に向かって言う。
『無理言ってすいません。
じゃあ、お願いします』
亮佑の一言に作業員達は作業に取り掛かる準備を始めた。
そして。