流星群【短編集】
突如。
薄暗闇に耳を突く音。
四方に飛び散る火花。
それが見る間に、ひとつふたつと増えていく。
作業員達の手元から放たれる強い光が、立ちすくむ多江の頬を紅く照らし、明るく照らしだされた室内には輪郭のぼやけた影が落ちる。
橙色の火花がぽろぽろと床に零れて。
まるでそれは、花火の様。
『綺麗でしょ』
後ろに立っていた亮佑は、いつの間にか多江の隣にいた。
『花火みたい』
飛び散る溶接の火花を見つめたまま、多江は頷く。
『よかった』
亮佑は安心したように笑った。
そうして、二人はほんの一時の、小さな花火に酔い痴れた。
。*゚花 火゚。*゚
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END