流星群【短編集】
小窓のクレセント錠を外し、音を立てないように窓を開けた。
静かすぎて、どんな音も大きく響いているように聞こえる。
孝一が先に外にでて、由樹、千秋、秀人の順に外に出た。
孝一と秀人は女の子二人に手を貸すつもりでいたが、千秋も由樹も自力で窓まで上り、外に出ることができた。
『おー、すごい』
由樹が思わず口にする。
フェンスに囲まれた屋上からは、キャンパスだけでなく、町を一望できた。
四人ともしっかり着込んできたが、足なんかは衣類を透して、冷えきった空気が伝わってくる。
長時間は居られない。
空の星はまばらに輝き、闇夜は薄明るい。
『明るすぎない?みえるかな』
千秋が不安を口にする。
吐いた言葉は白い形となって闇夜に消えていく。
『どっちの方向?』
孝一が秀人に尋ねる。
『東かな』
四人は黙って東の空を見上げた。