黒の葬祭者
1:紅茶
今日は猛暑日。
外気に触れて数分も経たないうちに汗だくになる。
当のアカツキは既に額から汗を流していた。
何処にでもあるようなコンクリートのビル。
そのワンフロアの中の一室を空けた瞬間、ひんやりと心地のよい風が触れた。
トポトポと液体が注がれる音と共に広がる香り。
視線の先でティーカップが湯気をたてていた。
「あ、おかえり」
にっこりと微笑んだのは、今時では珍しい漆黒の黒髪を持った男。
中性的な顔立ちの所為か、表情に自然な柔らかさが見て取れる。
俗にいう、誰にでも好意を持たれる顔である。
「…人に買い物行かせといて、自分はのんびりティータイムかよ」
呆れたようにしながら、不満を唱える。
それに、男は表情を変えることもない。
変わることがないことをアカツキも知っているから、何も言わなかった。
「やだな。コレはキミの分」
「ぅおい!炎天下の中走ってきた奴にクソ熱いコーヒー出すんじゃねぇよ!!」
ずいっとカップを顔につけられ、アカツキは慌てて顔を背けて逃げる。
カップから放たれる熱気に、軽く頭痛が生まれた。
そんなことを考えているうちに、いつの間にか男はアカツキの持っていた袋を奪って中身を確認している。
「桐印のダージリン、ちゃんと買えたみたいだね。偉い偉い」
「ぬばたま…おまえ、俺をなんだと思ってんだよ…」
.
外気に触れて数分も経たないうちに汗だくになる。
当のアカツキは既に額から汗を流していた。
何処にでもあるようなコンクリートのビル。
そのワンフロアの中の一室を空けた瞬間、ひんやりと心地のよい風が触れた。
トポトポと液体が注がれる音と共に広がる香り。
視線の先でティーカップが湯気をたてていた。
「あ、おかえり」
にっこりと微笑んだのは、今時では珍しい漆黒の黒髪を持った男。
中性的な顔立ちの所為か、表情に自然な柔らかさが見て取れる。
俗にいう、誰にでも好意を持たれる顔である。
「…人に買い物行かせといて、自分はのんびりティータイムかよ」
呆れたようにしながら、不満を唱える。
それに、男は表情を変えることもない。
変わることがないことをアカツキも知っているから、何も言わなかった。
「やだな。コレはキミの分」
「ぅおい!炎天下の中走ってきた奴にクソ熱いコーヒー出すんじゃねぇよ!!」
ずいっとカップを顔につけられ、アカツキは慌てて顔を背けて逃げる。
カップから放たれる熱気に、軽く頭痛が生まれた。
そんなことを考えているうちに、いつの間にか男はアカツキの持っていた袋を奪って中身を確認している。
「桐印のダージリン、ちゃんと買えたみたいだね。偉い偉い」
「ぬばたま…おまえ、俺をなんだと思ってんだよ…」
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