HDD彼女

Cafe de MOEMOE

 『ジャンパラ』を出て、茶色の袋に入れられたハードディスクをリュックの中に仕舞い込む。
 そのまま迷い無い足取りでもって、ジャンパラの近所にあるメイド喫茶へと足を向けるのであった。

――たまには……たまには生身の女の子と会話でもしておかないと、いざという時に困ってしまう。

 ここで『いざってどんな時なのさ?』という質問は愚問だ、極めて愚問である。空はどうして青いのか、という疑問くらいに愚問だ。
 男とは……いや、漢というものは。いついかなる時でもいざという時の為に準備というものを怠ってはいけないものなのだ。

――べ、別に、メイド服に癒しを求めているわけではないのだ!

 言うなれば、俺にとってのメイド喫茶とは『来るべく日の為にシュミレーションを行う模擬戦闘を行う戦場』なのである。
 そうシュミレーションだ、趣味では無い。
 決してメイドさんとの萌え萌えな会話を楽しむことだけをメインにしている訳でもないし、あわよくばメイドさんの手に触れたり……みたいな邪まな事を考えて通っているわけでは無い……無いんだってば!
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