HDD彼女
 見慣れたメニューに目を通しながら、注文を聞く担当のメイドさんが俺の席へやって来るまで、店内を忙しそうに小走りのような速度で走り回る可愛いメイドさんを眺める。

 喧騒というか、ざわざわと小さな話し声がそこかしこで聞こえるような店内でも走り回るメイドさんのパタパタという足音が聞こえてくるようである。
 彼女たちが何かの動作をする度に、エプロンドレスの裾がフワッと翻る。
 動作の一つ一つに、フェロモンのような物質が含まれているような錯覚に囚われて、俺の視線は美しいメイドさんに釘付けとなる。

 まさに――眼福と呼ぶのだろうか、室内光に照らされているだけの彼女たちの姿は、俺の視界の中では桃色のフィルターにかけられたように周囲が淡いピンクに染まっているように見える。

 店内に溢れる彼女たちの笑顔はまるで天使が佇む泉の畔のようだ。
 やはり、二次元の女は究極であるし極めて良いものなのだが――たまには三次元の生身の女の子というのも究極でやはり良いものだ。
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