HDD彼女
 別に俺の部屋を尋ねて来たり、一緒に出かけるような友達さえもいない。
 本当に他人とは関わる事の無い、気ままな天蓋孤独の一人暮らしなのだ。
 それが気楽で過ごしやすい。煩わしさから解放されて、この生活が俺には合っているのだと実感する。

 部屋の中にゴミが散乱していたり、他の人から見れば荒んだ生活に見えるかもしれないけど、別に寂しさを感じるわけでもないし自分ではそれなりに満足してたりするんだよ。無理してそう言ってるんじゃないんだよ、本気でそう思ってるんだよ!寂しくなんて無いんだよ!!

 住む場所があって、食い物があって、生活に十分な金を確保していて……オナニーのネタだってネットで確保できるし。
 彼女が欲しいというわけでも……いや、彼女とか居ればもっと人生楽しいのかもしれないけれど、自分のことは自分が一番良く知っている。
 彼女を望むなんてかなり無理な願いだし、そんな充実した生活なんて俺には一生縁が無い世界だと理解している。
 そもそも、人付き合いなんて煩わしいだけだし、これだけ生活が満たされていれば他に必要なものなんて無いだろ?
 無いものをねだるなんて贅沢すぎるんだよ。
 人生の刺激なんてものは電気街で買ってくるエロゲや、しょっちゅう不具合を起こすパソコンのパーツが与えてくれる――それで十分だ。
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