HDD彼女
 俺なんて、生まれてこの方、恋愛どころか女と関わりを持てたことさえないのだ。
 恋愛なんて都市伝説の類なんじゃないかと疑いたくなる。
 きっと都市伝説だ。そうに違いない。
 特に俺の恋人になってくれそうな女なんてエロゲやギャルゲの中でしか見たことが無い。
 いいや、ひょっとしたら『女』というのも都市伝説かもしれない。
 だって、俺の身の回りには女性なんて居ないもの。
 俺の半径一メートルには女性が近付いて来てくれない。
 来てくれるのはお金を払っているメイド喫茶のメイドさん達だけだもの。
 あ、違うな。大家のおばさんも一応女性だ。 

 ひょっとしたら彼女たちも俺の脳が見せている幻影かもしれない。
 まあ、お金はキッチリ減っているのできっと彼女たちだって現実に存在はするのだろうけど。
 お金の関係が無ければ縁が無いということなのだろう。

 しかし、こうやって電気街を女と歩いている連中が居るのを見せ付けられると、女というのも現実に存在していて、女と恋愛しているような人間も立派に存在しているということを思い知らされる。

――現実なんて大嫌いになりそうな光景だ。
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