HDD彼女

Junk Paradise

 電気街の中で俺の行きつけの店は、少し裏通りに入った場所にある『ジャンク・パラダイス』というややマニアックな店だ。

 店の名前の通りに、扱っているのはほとんどジャンク品である。
 ただ、ジャンクといってピンからキリまである。
 文字通りに、本当に壊れてしまってパーツ取りにしか使えないようなものから、メーカーが海外で名前が知れておらずキチンと稼動するのだが、出所が保証しきれないので店によってはジャンク扱いになってしまっているようなものまで様々である。

 メーカーが怪しいものというのは作動の保証が無い事と、仮に故障してしまっても修理してもらえないだけというだけで、完全にダメな品々というわけでも無い。
 動かないというリスクを含めて愛用している人間も多く、機械に詳しい人間であればあるほど抵抗なくジャンクパーツを使用している場合だって多いのだ。
 それに、動かないかもしれないからジャンクパーツは使えないなんて、そんな軟弱なことを言っていてはパソコン道を追求することはとてもでは無いが出来ないのである。
 パソコンを普通に使用するのはもちろんのこと、自分好みにPCをカスタマイズするには正規品よりもジャンクパーツの方が使い易いという事だってあるのだ。
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