手
元カレ
『今暇―?』
ポケットで震える携帯を開くと、液晶に写る文字。
送信先は、クラスの早乙女麗真。
何かと気が合って、一緒に過ごすことの多い男子。
『ごめん、今バイトの飲み―』
ただそう短く返して携帯を閉じる。
そんなあたしの様子を見ていたヤスさんが、からかうように言う。
「彼氏―??」
相変わらずだな―、なんて言いながら。
ずきん、と少し胸が痛んだ。
「彼氏とは別れちゃいました」
ただそう言うと、すかさず質問攻め。
「まじ?」
とヤスさん。
「いつ?」
とヒロちゃん。
「何で?」
とダイさん。
あたしは苦笑いしながら一つ一つに答える。
「実習始まってすぐですよー。向こうも忙しかったみたいで、連絡取れなくなりました」