手
携帯を閉じてディスプレイの時計を見ると、もう休憩の終わる時間だった。
全然休まった気がしないけどね。
あたしは大きく溜め息をつく。
何でかなぁ。
自分のことだと、相手のことなんて何も思いつかないのに。
人のことならよく見える。
『あいつ、年末帰って来るって』
麗真の言葉が頭の中でリピートされる。
本当は会わなきゃって思ってる。
あの時、何も特に話すことなく終わったあたしたち。
だからしっかり一度は話すべきなんだ。
もう戻ることはないと思うけど。
冷静に考えればそう思えるのに。
けど、やっぱり今更って思う自分がいる。
だって会ったらまた、意地を張ってしまう気がするし。