手
「ニヤニヤすんなって」
ヒロちゃんの家で乾杯して、飲みながらオツマミの準備をしていたあたしの耳に聞こえたヤスさんの声。
「してねーし!!!!」
聞こえて来たのはジュンさんの声。
「何ー?」
ヒロちゃんと完成したオツマミを持って、キッチンから居間へと移動する。
興味深々で尋ねるヒロちゃん。
山盛りのポテトをつまみながら、ヤスさんが言う。
「ジュンさんが携帯見ながらニヤけてさ」
「誰からメールー?」
ヒロちゃんもポテトをつまみながら、さらに尋ねる。
「別にニヤけてねーし!!」
ジュンさんが必死に反論する。
「元カノだって」
そんなジュンさんを押し出して、ヤスさんが笑いながら言う。
「何それー、気になる」
ヒロちゃんがそう言って話に食い付く。
「別に何もないから」
ジュンさんがそう言って、立ち上がる。
そして逃げるように、パズルの置いてあるヒロちゃんの部屋へと向かった。