手
終わりと始まり
突如来店
「佳奈、これ13卓に出して」
今日は年末の金曜日。
そのためかホール、キッチンともに慌ただしい店内。
ヤスさんに言われ、生を13卓に運ぶあたし。
「失礼しまーす」
そう言って卓に近づくと、見慣れた姿。
「お疲れさん」
そう言って生を受け取る麗真。
「久しぶり」
そう言って隣から声を掛けてくるのは。
「……拓海」
一瞬固まるあたしに、拓海が言う。
「ウーロン茶とカルビ追加で」
「あ、うん」
あたしはそのペースに呑まれたまま、テーブルを離れた。
「ねー!!!!」
ウーロン茶を作りに行ったあたしに駆け寄ってくるヒロちゃん。
「さっきの、元カレさんぢゃないの!?」
その声の大きさに驚いたあたしは、ヒロちゃんの口を慌てて押さえる。
丁度その時、近くにいたジュンさんと目が合う。
が、すぐに反らされてしまった。