「あ、じゃあ何で別れたのかって?」


ずっと黙り込んでしまっているあたしに代わり、自分自身で話を進める拓海。


「全部、俺の身勝手な我が侭だよ」


そう言って、拓海はまた首を回して正面を向く。


その横顔を見て、拓海がすごく痩せていることに今更気づく。


大学辞めたって麗真から聞いた。


何か大変なことがあったのは、分かってる。


「佳奈美はさ、俺のこと好きだった?」


こっちを見ずに、呟くように投げ掛けられた質問。


拓海の不安みたいなものが、伝わってくる。


「……好きだったよ?」


でも拓海の意図することが分からなくて、あたしは疑問系で返してしまう。


「そっか……」


拓海が、顔をあげる。


さっきよりも安心したような、けど何処か苦しそうな表情。














< 50 / 65 >

この作品をシェア

pagetop