手
「ヨリ戻せたの?元カレと」
思いがけないジュンさんの声に、またジュンさんを見る。
「すっげぇイケメンだったね。性格もよさそう」
ジュンさんは視線を反らして続ける。
何だか刺々しい言い方に、あたしはつい黙ってしまう。
「よかったじゃん」
最後の一言を聞いた時、心臓が痛い位に悲鳴を上げた。
「ヨリ戻ってないですよ。むしろ綺麗に終わらせて来ました」
そうぼそっと答えて、あたしはうつ向いた。
やばい。
さっきあんなに泣いたのに。
いや、むしろさっき泣きすぎたから?
再び緩む涙腺を止めようと、あたしは必死。
けど涙は静かに溢れだして。
ジュンさんはと言うと、何も言わないまま。
また訪れる沈黙に、あたしは声を出さないように泣くようにした。