手
「俺なんかでよければ話聞くよ」
そう言って、ジュンさんが微笑む。
戸惑って黙り込んでしまうあたしに、ジュンさんがまた口を開く。
「……じゃなくて、気になるから教えて下さい」
「……え?」
消え入りそうな声にイマイチ聞き取れず、聞き返す。
今度はジュンさんが黙ってしまって、再び沈黙。
スタッフルームの時計はもう0時を指し示す。
秒針の音がやけに響いて聞こえ、それに合わせて自分の鼓動も大きく聞こえる。
「……あぁっ―!!もう無理!!」
突然の大声とともに、ジュンさんが立ち上がる。
びっくりしたあたしは、思わず肩を震わせる。
立ち上がったジュンさんは、自分の髪をぐしゃっと掻く。
それから大きく息を吐くと、再び座る。