手
本人を前に、何て答えようか。
悩んでしまって黙るあたしを、じっと見つめ続けるジュンさん。
また、今度は小さく息を吐いて、ジュンさんが口を開く。
「ごめんね、いきなり」
そう言って少し微笑んで、またあたしの頭を撫でる。
ジュンさんに頭を撫でられると、何故かすごく安心してしまう。
優しくて、けどたくましい手。
この手に撫でられると、心臓は早く脈を打つし、頬だって熱くなる。
けどやめてほしくないって思う不思議な手。
この手になら、この人になら甘えられる。
っていうよりも自然と肩の力が抜けてしまう。
そう思ってしまうほど。
そんなことを考えてぼうっとしていたあたしに、再びジュンさんが問いかける。
「佳奈ちゃん、俺と付き合わない?」