手
埜乃ちゃん
「佳奈さ―ん」
ジュンさんとだいぶ打ち解けた頃。
女の子らしい可愛い声があたしを呼ぶ。
「埜乃ちゃん、久しぶり―」
笑顔で近寄って来る埜乃ちゃん。
山泉埜乃、短大2年生。
とにかく女の子らしくて、可愛い子。
……本当は少し苦手だったりする。
「お久しぶりです☆あとでお話あるんで聞いて下さいね―」
ふんわりとした笑顔でそう言って、彼女は去って行った。
「話って何だろ―」
あたしがそう言うと、ジュンさんが少し気まずそうに笑った。
けどその時のあたしは、特にその表情を気にすることなく流していた。