幸福カフェにようこそ

私は学校が終わるなりフランフランに向かった。そう、今日から仮定員デビューなのだ！
「はい。舞ちゃんのエプロンね。」
「ありがとうございます。可愛いいエプロンですね。」
「このエプロンね幸助の趣味。」
「そうなんですか。幸助さんはハート柄が好きなんですね。そういえば幸助さんの姿が見えないですけど？」
「幸助？奥でケーキ作ってるよ。覗いてみる？」
「はい！是非。」
コソコソしながら舞は見つからないようにそ〜と厨房を覗いた。光輝さんの言う通り幸助さんはケーキを作っていた。幸助さんはいつも見せる笑顔ではなく真剣な顔をしていた。
「あいつのケーキうまいよ。お客には大人気だしね。」
わかる気がする。厨房がケーキの甘い匂いで包まれていて〃美味しいよ〃と言っている。
「美味しそうな匂い。食べたいな。」
「はい。これ、食べていいよ。」
「光輝さん。これって、お店のケーキじゃ？」
「細かいことは気にしない♪」
「じゃ、お言葉に甘えて。いただきます！」
パクリ。一口食べただけで甘味が広がる。こんなケーキを食べたのは初めて。し・あ・わ・せ。
「おい、何してる？お店のケーキだよな。」
「あっ、いえ、光輝さんが食べていいと。ですよね？」
「しらな〜い。」
「そ、そんな〜。」
光輝は口笛を吹きながら逃げるかのように離れて行った。完全に人のせいにした。
「たく、光輝も舞ちゃんせいにするなよ。」
「は〜い。」
「あの、ケーキ食べてすみません。でも、美味しかったです。」
「今日だけのサービスだからな。」
幸助さんの笑顔を見るとなぜか安心する。
「まっ、罰として皿洗いな。」
ガーン。笑顔の裏には悪魔が。
「わかりました。」
私の仕事は皿洗いから始まった。