ブラックコーヒー


「ま、行こうか」

「どこに?」

「取り敢えずカフェ」


圭介はそう言って、
強く絡まっている
あたしの腕をほどいた。

そして、指を絡めて
ギュッ としてくれた。


「うん♪」


あたしもそれに、
ギュッと返事をした。


あたしは圭介の
進むほうへついていく。

たくさんの人を
スルスルと抜けて・・・。


――ドンッ

「あっ」

すれ違った人と
肩がぶつかった。

その拍子に、パッと
手を離してしまった。


「圭・・・っ」


休日で賑わう駅前。
やっぱり人込みは大嫌い・・・。


「彩子」

「あ・・・」

「なに離してんの」


すると、圭介は
パッとあたしのもとへ
戻って来て、キュウッと
さっきよりキツく手を
握ってくれた。


「彩子トロイもんね~」


そう言って圭介は笑う。
まあ、その通りなんだけど。


だけど、圭介が
手をつないでくれてたら
平気でしょ?




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