SKY~伸ばしたその手の先~
「うちの数少ない女性だ。
失礼ないようにな。
それじゃ出席とるぞ」

生徒の質問をさらりと流して三島先生は
出欠をとりはじめてくれた。
少なくとも嫌な人じゃない。
一緒に一年過ごす先生なだけに重要だ。
私はほっとして教室を改めて見回した。
男の子だけだけれど
もしかしたらなんとかなるかもしれない。
実技がある教科じゃないし
触れる機会もほとんどないだろう。
気づかず微笑んでしまっていたらしい。

「豆ダヌキが笑ってる」

くすりと笑いながら小声で呟いた声を
私は聞き逃さなかった。
豆ダヌキだ~?
声のあったほうをこっそり見ると
目つきの鋭い男が頬杖をついていた。
よ・・・容姿は選んで生まれてこれないのよ!
言いたくても言えない小心者の私は
いつものように心の中で叫んでみた。

男の子というより三年生ともなると
「男」に見える生徒のほうが
多いのかもしれない。
それなら「女」に見られるより
まだ豆ダヌキのほうがましなのかしら。
なるべく「男」から離れたい私が
何の因果か男子だらけの高校へ就職。
この先不安だらけだけれど
とにかくやっていくしかない。

「でもせめて子羊くらいにしてほしいわよね」

脳内変換されるはずの言葉が
思わず口から出て
教室中の笑いをかってしまったのは
言うまでもない。
反省。

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