pain
僕は緊張していた
ある程度うすうす感づいていたが

僕はその精神科のクリニックの先生と対面して
自分が何故学校に行かなかったか話す気にはなれなかった

ただ自分を分かってもらいたくて自分の描いたイラストを見せた

「ほう…上手いね。 今日ここへ来て見て感心した…」
「映画とか撮ってみたいとは思わないの」


「いいえ お金とかかかりますし…」

「こんなイラストハンディカムで撮ると映画になるよ」


「はあっ…」




僕は30分ばかり先生と対面して
自分の部屋に戻りかけてそっと隠れて先生と母の会話を盗み聞きした。


「ああいった絵を描く子は 多少心が病んでいます 入院までの必要はありませんが軽い精神薬を出しておきます」

「あの仔は小さい頃から何一つ一人前に出来ない子でした
どこか欠陥があるのです…普通ではないのは私も感じていました」

母親の言葉は悲しかった。
子供に何が起きているか理由など知りもしないで
短絡的に わが子を軽視して 振り回し
自分の腕の中で自分の意のままに扱う
それが母親の愛情なら悲しすぎる


僕は母親がまず
信頼の出来る相談相手だと判断しなかったことを幸いに思った

僕の母親は
僕から信頼が得れないことも
僕の異常と捉える困った人であることは充分以前から分かっていた
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