†Orion†


まったく気づかなかった。

いつもいつも、うんざりするほど一緒にいる弘美が。

優菜さんのことでも、いろいろと世話を焼く弘美が。



――俺のことを好きだったなんて……



「……弘美、俺は……」


「あ~、やめてやめて。ごめんとか、そういうのはなし」



ショックを隠せない俺に、弘美は顔をしかめて言う。



「あんたが優菜さんを好きなのはよく分かっているし。あたしはあんたとこのままの関係を続けていきたいから」


「このままの関係って、友達どまりってことか?」


「そう。友達だったら、ずっと一緒にいられるじゃない? あたしはそっちの方がいいの」


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