†Orion†


「おはようございまーす」



裏口のドアがキイッと音を立てて開き、優菜さんが出勤してきた。


タイミングがいいのか悪いのか。

そのときの俺は、大型冷凍庫から食材を抱えて出てきたばかり。



優菜さんとバッタリと出くわしてしまった。

緊張のあまり、目を合わせることすらできなくて。



「……おはようございます」



俺は、ゆっくり顔を見て挨拶できないくらい忙しいんだ、と言わんばかりに、早口に挨拶を返すと、その場から急いで離れた。



「……雅人くん」



厨房に戻ろうとする俺を、優菜さんが呼び止める。



< 115 / 359 >

この作品をシェア

pagetop