†Orion†
「……お、おはようございます」
彼女の態度にすっかり萎縮してしまった俺は、肩をすくめて挨拶を返した。
「よし。朝の挨拶OK。ちゃんと顔見て挨拶しないとダメよ」
一瞬にして、優菜さんの顔に笑みが広がる。
その笑みに、さっきとは違う心臓の鼓動を感じた。
そして、思う。
社員の道に進む俺の選択は間違ってなんかいない。
優菜さんとの関係がこれ以上進まなくたっていい。
あとどれくらい一緒に働けるのかなんて、想像もできないけれど。
彼女が笑って俺を見てくれるだけで。
“雅人くん”と呼んでくれるだけで。
それだけでもう、じゅうぶんだよ――……