†Orion†

*酔っ払いの戯言*



「――斉藤、早く休憩に行ってこい」



少しイラついた料理長の声で、我に返る。

土曜日にしてはめずらしく暇なモーニングタイム。


十時半になっても休憩に行こうとしない俺に、料理長は急かすようにして言った。



「社員になるんだったら、俺に言われなくても、タイミングを見て自分から休憩に行くようにしろ」


「……はい」



そんなこと、分かってるよ。

でも、一足先に休憩に入った優菜さんを思うと、足が動かなかったんだ。

今朝あれだけ、休憩時間の過ごし方を考えたのに。


重い足取りで、渋々と休憩室に向かう。



「今から休憩?」



弁当を食べ終えた優菜さんが、食後のコーヒーを飲んでいた。


< 118 / 359 >

この作品をシェア

pagetop