†Orion†
*酔っ払いの戯言*
「――斉藤、早く休憩に行ってこい」
少しイラついた料理長の声で、我に返る。
土曜日にしてはめずらしく暇なモーニングタイム。
十時半になっても休憩に行こうとしない俺に、料理長は急かすようにして言った。
「社員になるんだったら、俺に言われなくても、タイミングを見て自分から休憩に行くようにしろ」
「……はい」
そんなこと、分かってるよ。
でも、一足先に休憩に入った優菜さんを思うと、足が動かなかったんだ。
今朝あれだけ、休憩時間の過ごし方を考えたのに。
重い足取りで、渋々と休憩室に向かう。
「今から休憩?」
弁当を食べ終えた優菜さんが、食後のコーヒーを飲んでいた。