†Orion†
「……雅人くん、ここに就職するんだって?」
「へっ!?」
頬張っていた卵焼きをごくりと飲み込む。
なんで優菜さんが知っているんだ?
俺の疑問は、あとに続く優菜さんの言葉ですぐに解決した。
「料理長が嬉しそうに話していたよ。雅人くん、相当気に入られているみたいね」
フフッと笑いながら、優菜さんはコーヒーを飲む。
……料理長。
まだ人事部との面談があるんだぞ。
それに、大学三年の俺がここに就職するのはまだ先の話。
万が一、留年でもしたら、すべてパーじゃないか。