†Orion†
触れないでおこうと思ったのに。
あのことはもう、片付けたはずなのに。
言葉が勝手に、口をついて出てくる――……
「なんで……、キャンプの夜、俺と……」
はっきり訊くことができなくて、あとに続く言葉に詰まった。
俺を見据えていた優菜さんの視線が、わずかにずれる。
少しためらったような様子を見せたあと、優菜さんは再び俺をまっすぐに見た。
「……なんで、あたしにキスしたの?」
こっちが訊いているのに、逆に突きつけられる。
「結婚して、子供が二人もいるおばさんに」