†Orion†
自嘲気味に笑いながら、優菜さんは視線を落とす。
「……したかったから」
一度こぼれおちた思いはとどまることを知らず、言葉を紡ぎだす。
「優菜さんとキスしたいって思ったから」
「酔ったはずみで誰彼かまわずキスするなら、今度は相手を選ばないとダメよ」
だけど、俺の真剣な思いは届かない。
酔ったはずみなんかじゃない。
あのとき俺の頭は、正常だった。
好きで好きで、しかたなくて。
頑張っても絶対に手の届かない、俺の愛しい人。
“酔った”ことにしておかないと、崩れてしまうから。
だから、そういうことにしていたのに。