†Orion†


なぜなら。

同年代のバイトメンバーとの関係は、あくまでも“同じ店で働く仲間”としか思っていない。

プライベートで遊びに行ったり、勤務中に私語をするわけでもない。

料理長のいう“オトモダチ感覚”には、到底あてはまらないのだ。



「――斉藤……」


「はい」



ほんの少しの沈黙のあと、料理長はまっすぐに俺を見据えて言った。



「杉浦はやめとけ」



……やっぱり――

この人は、何もかもお見通しだったんだ。


うなだれたように俯いた俺に、彼は容赦なく続けた。



「あまり言及はしないが、ここは仕事をする場所だ。たとえ休憩時間であっても、そこに私情を持ち込むな」



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