†Orion†


「さっき……すみませんでした」



ご丁寧に頭を深々と下げたのは、反省の意を表しているのもあったけれど。

いちばんの理由は、優菜さんの顔をまっすぐに見れなかったからだ。



「えっ? さっき……?」



とぼけたような優菜さんの声が頭上で聞こえる。


俺はスッと顔を上げると、定まらない視線のまま口を開いた。



「……なんか、すっげー嫌味っぽいこと言って」


「ああ……。……あたしも何だか応戦しちゃって。みっともないわ」



優菜さんは苦笑しながら「あたしもごめん」と謝った。


互いのあいだに流れる空気が和らいだところで、俺は本題に入った。


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