†Orion†
「なんだかあたし、雅人くんのお母さんみたいね」
フフッと笑いながら優菜さんは言う。
そして、返事を待つ俺に彼女は続けて言った。
「分かったわ。……それより、雅人くん。今日の晩御飯はどうするの?」
「え? 晩飯……? まだ考えていないですけど、冷蔵庫にあるもので適当に……」
「よかったら、ウチでご飯食べていかない?」
「……優菜さんの、家で?」
「うん。今日は主人の帰りが遅いの」
一瞬、ためらったけれど。
優菜さんが誘ってくれることなんて、後にも先にも、今日限りかもしれない。
そう考えたら、とても貴重なことに思えて。
俺は二つ返事でOKした。