†Orion†
「おにいちゃん、だあれ?」
大きな瞳を丸くさせ、奈緒ちゃんは俺をじっと見据える。
困ったな。
俺、子供の扱いって慣れてないんだよな。
「お兄ちゃんは……、お母さんと同じお店で働いているんだ」
突っ立ったまま、奈緒ちゃんを見下ろすようにして、俺は言う。
奈緒ちゃんは口を真一文字にキュッと結ぶと、それ以上のことは訊かず、優菜さんの後ろにスッと引っ込んでしまった。
「あれ……、嫌われた、かな?」
かなり優しい口調で、しかも満面の笑みで答えたつもりだったのに。
いったい何がいけなかったのかな。
それとも奈緒ちゃん、照れてるのかな。
優菜さんの腰にしがみつき、目だけを覗かせながらチラチラと俺を見る奈緒ちゃん。