†Orion†
*彼女の卵焼き*
「斉藤、休憩行ってこい!」
土曜日の午前十時半。
ランチタイムに備えて、少し早めの昼食を取る。
たった三十分のこの時間。
俺が、いちばん緊張する時間でもあった。
「……休憩?」
「はい」
一緒に開店前の準備をした杉浦さんも、俺と同じ時間帯に休憩に入る。
休憩室に少し遅れてやってきた俺に、杉浦さんはにこりと笑いかけた。
店のメニューを社割で食べる俺と違い、杉浦さんはいつも手作りの弁当を持参している。
テーブルの上に広げられた、手作りの弁当。
おいしそうだなぁ……。