†Orion†


奈緒ちゃんは聞き分けのいい子で、ぐずることなく片付け始める。

俺も一緒になって片づけを手伝った。



「さくら、もうダメよ!」



最後の一個のおもちゃ。

それを、さくらちゃんがしっかりと抱きしめていて、奈緒ちゃんは叱りながら奪おうとしている。



「さくらちゃん、お片づけしよう」



俺がおもちゃに手を伸ばすと、さくらちゃんの顔が大きく歪んだ。



「……うっ……、うぇ……っ」



思い切りヘの字になった、さくらちゃんの口。

上唇を下唇で包み込み、小刻みに震え始める。


やばい、泣く……


そう思った瞬間、さくらちゃんは大声あげて泣き始めてしまった。



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